印刷の基礎知識
ラテックスインクとは
ラテックスインクとは
ラテックスインクの特徴
水性60%~70%、溶媒成分30%~40%で構成されているインクです。
水性インクでありながら屋外での天候変動に強く(耐候性)、メディア(素材)を選ばずにプリントできる広範な汎用性があります。ラテックス(Latex)は天然ゴムという意味ですが、ゴム成分は含まれておりません。柔らかくしなやかなインクの特性から名づけられました。
粘着素材、ファブリック、紙、フィルム、非コートの低コスト素材など、多彩なメディアに印刷可能という特徴があります。
印刷方式
ラテックスインクのプリンター(HP Latex)には、2種類のヒーターが内蔵されています。
1つめのヒーターで水分を蒸発させ、2つめのヒーターでラテックス(水溶性ポリマー)を溶解、硬化させることで、耐久性塗膜とり定着します。この仕組みは、非コート塩ビのようにインクが染み込まない非吸収性のメディアにも印刷をすることができ、また印刷後すぐに加工できるためスピーディーな納品が可能になります。
1.非吸収性のメディア上での印刷イメージです。ラテックスとインクの粒子がメディアに乗ります。
2.乾燥用のヒーターと強制換気によって水分を蒸発させます。
3.硬化用のヒーターにより、ラテックスを溶解・硬化させることで耐久性塗膜となり、メディアの表面に隙間無く形成されインクを保護します。
ラテックスインクは安心・安全・エコロジー
屋外用印刷-ラテックスインクとソルベントインク-
弊社の採用するラテックスインクは屋外印刷にも強い水性インクとして注目が高まっています。これまで屋外用の印刷ではソルベントインク(溶剤系のインク)が多く使われていました。
しかしソルベントインクには、強い刺激臭が発生し環境や人体に悪影響を与える成分が含まれます。その毒性の強さから第2種有機溶媒剤にも指定*されています。業界では使用見直しの声が上がり、現在は毒性の低いソフトソルベントインクが主流です。
弊社では両方とも一切使用しておりません。
弊社が採用するラテックスインクは有害物質を含まず、VOC(揮発性有機化合物)の排出が少ない上に耐候性も高いとても安定したインクです。
*有機溶媒中毒予防規則にて指定
非常にエコロジーなラテックスインク
ラテックスインクでプリントした印刷物は有害廃棄物を排出しません。臭いや有害成分の心配がないため飲食店や、教育機関、医療機関などでも安心して印刷物を掲示でき、設置スペースに換気装置がいりません。
「総合的に環境負荷を低減する製品」として、屋外使用できるインクでは初のエコマーク取得も果たしています。エコマークは、様々な商品(製品およびサービス)の中で、「生産」から「廃棄」にわたるライフサイクル全体を通して環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品につけられる環境ラベルです。
ラテックスインクの耐久性
ソルベントインクはメディアを侵食して受理層を作りますが、ラテックスインクはメディア表面に受理層を作ります。そのため様々なものに印刷できる汎用性があります。
耐候性はソルベントインクに迫るほどで、屋外で最大3年、ラミネート加工すれば5年と高いレベルにあります。屋内ではラミネート無しで最大5年、ラミネートありで最大10年という長期間の掲示に耐えます。ただし、掲示期間についてはメディア自体の耐久性に依存します。
- 弊社ではラテックスインクのみ取り扱っております。ソルベントインク・ソフトソルベントインクを使用した商品はございません。
- 耐候性・耐久性は高いインクですが、製品としての耐候性・耐久性は印刷するメディア自体の耐久性に依存します。掲示期間の目安は、屋外用合成紙は約1ヶ月、ターポリンは1~2年、トロマットは屋内での使用に限り半年から1年となっています。
- ラテックスインクは強く擦るとインクがはがれる可能性があります。