風景写真を使ったデザイン制作では「空の色がいまひとつ」と感じる場面が少なくありません。天候によって空が白っぽく写り、写真全体の印象が沈んでしまうこともあるでしょう。そんなときに便利なのが、Photoshopの「空を置き換え」機能です。
AIが自動で空を検出し、好みの空へと置き換えてくれるため、手作業で選択範囲を作る手間もかかりません。
本記事では、基本の操作手順から自然になじませるコツ、自前の画像や無料素材を使う方法まで、わかりやすく解説します。
Photoshopの「空を置き換え」で曇り空を青空にする方法

Photoshopで曇り空を青空に変えようとしても、何から手をつければよいのか迷ってしまう方は少なくありません。とくにデザインツールの操作に不慣れな場合、その戸惑いは大きくなりがちです。
Photoshopの「空を置き換え」は、まさにそうした悩みを解消してくれる機能のひとつです。この機能は2021年に登場したPhotoshop 2021(バージョン22.0)以降に搭載されており、旧バージョンをお使いの場合はあらかじめアップデートが必要です。
空の入れ替えには「色相・彩度」や「色域指定」を使う方法もありますが、初めて挑戦する方には「空を置き換え」がもっとも手軽です。とはいえ、Photoshopの操作に慣れていない方にとっては、便利な機能があっても使い方に迷う場面があるでしょう。
株式会社NEXERとWAVEが、印刷物の発注・制作に携わった経験がある方を対象に実施した調査からも、デザインツールの操作に関する悩みがうかがえます。
同調査では、印刷物の発注・制作で「困った経験がある」と回答した人が、全体の約3人に1人という結果でした。
また「具体的にどのような点で困りましたか?(複数選択可)」という設問では、「データの作成方法が分からなかった(Illustrator、Photoshopなど)」と回答した人が12.8%を占めています。
ソフトの操作に不慣れなことが、デザイン制作を進めるうえでのハードルになっていることがうかがえます。だからこそ、複雑な手順を踏まずに仕上げられる方法を知っておくことが、大きな助けとなります。
とくに、地平線や水平線がはっきりと写っている風景写真では、空の境界をきれいに認識しやすく、仕上がりも安定しやすい傾向にあります。
なお、水面に空が映り込んでいる写真では、反射部分までは自動で置き換えられません。水辺の写真を加工する際は、この点をあらかじめ把握しておくとスムーズです。ここからは、実際の操作手順を順番に見ていきます。
①加工したい画像を開く

まずはPhotoshopで加工したい画像を開きます。このとき、元の画像を複製しておき、複製したデータで作業を進めるとよいでしょう。万が一操作を誤っても、元画像がそのまま残っていれば安心です。
複製には、WindowsならCtrl+J、MacならCommand+Jのショートカットが便利です。簡単にレイヤーを複製でき、作業をスムーズに進められます。
こうした非破壊編集の習慣は、写真加工の基本として覚えておくと役立ちます。あとから色味や構図を見直したくなった場合にも、元画像が残っていればスムーズにやり直せます。ファイル名に日付やバージョン番号を入れておくと、複数の候補を比較したいときにも見分けやすくなります。
②「編集」→「空を置き換え」を選択する

画像を開いたら、メニューバーの「編集」から「空を置き換え」を選択します。クリックすると、Photoshopに搭載されたAI技術「Adobe Sensei」が自動で画像内の空の範囲を検出し、マスクを作成します。
境界線を手作業で切り抜く必要がなく、待ち時間もわずかなため、初めて使う方でも扱いやすい操作です。従来のように、選択ツールで空の部分を1か所ずつなぞる作業は必要ありません。
マスク作成後は、プレビュー画面ですぐに仕上がりイメージを確認できます。思っていた印象と違う場合は、次のステップで空自体を選び直せるため、いくつか試しながら調整できます。
③希望の青空を選ぶ

「空を置き換え」パネルが開いたら、好みの空を選びます。プリセットには「青空」「壮観」「夕暮れ」の3つのグループが用意されており、あわせて25種類の空の画像から選択できます。「壮観」グループには、迫力のある雲や劇的な光をとらえた空が多く含まれています。
清潔感を出したい場合は雲の少ない青空を、印象的に見せたい場合は雲の多い青空を選ぶなど、仕上げたいイメージに合わせて選ぶとよいでしょう。空の画像は選択後も色味や大きさを調整できるため、まずはいくつか候補を試してみることをおすすめします。同じ写真でも、空の選び方ひとつで印象は大きく変わります。
空を選んだあとは、「出力」の設定も確認しておきます。「新規レイヤー」を選択すると、空の合成結果が新しいレイヤーとして作成されます。
マスクを確認したい場合は、レイヤーパネルのレイヤーマスクサムネールをクリックします。AltキーもしくはOptionキーを押しながらクリックすると、マスクをモノクロ表示で確認できます。境界がうまく認識できているか確認したいときに役立つ操作です。
印刷用のデータとして入稿する場合は、レイヤーを統合した状態での提出を求められることがあります。統合する前に編集用のデータを別名で保存しておくと、あとから仕様変更があった場合にも対応しやすくなります。事前に印刷会社の入稿規定を確認しておくと、やり直しの手間を防げます。
④色味を微調整する

空を選んだだけでは、境界線の色味や明るさが不自然に感じられることがあります。ここからは、画像全体を自然になじませるための微調整を行います。主に使用するのは、以下のスライダーです。
- エッジをシフト:空と元の画像の境界線の位置を調整します
- エッジをフェード:境界線のぼかし具合を調整し、なじみをよくします
- 空の調整:空自体の明るさや色温度に加え、拡大・縮小や反転もこの項目内でまとめて調整できます
- 前景の調整:空の色味に合わせて、建物や樹木など前景の色合いを自然に合わせます
「空の調整」の項目内にある「拡大・縮小」では空の大きさを、「反転」では左右の向きを調整できます。太陽の位置や雲の流れを画像の構図に合わせたいときに役立つ機能です。
なお「前景の調整」内に「エッジの明暗」というスライダーも新たに追加されています。境界部分の明暗のコントラストを微調整できる機能で、枝や花びらのような繊細な輪郭ほど効果を実感しやすくなります。
とくに建物や木々など、輪郭が複雑な被写体は、境界線がずれると合成感が出やすい部分です。「エッジをシフト」と「エッジをフェード」を少しずつ動かしながら、違和感のない位置に調整することがポイントです。
一度に大きく数値を動かすと不自然な仕上がりになりやすいため、画像を拡大表示しながら少しずつ調整するのがコツです。細部を確認しつつ整えることで、パッと見ただけでは合成と分からない、なじみのよい1枚に仕上がります。
とくに、明るい空を暗い空に変えたときは、輪郭にハローと呼ばれる白い光の輪が出やすいため、注意が必要です。「エッジの明暗」でコントラストを上げることで、目立ちにくくなることがあります。
なお、画面上では自然に見えても、印刷時には色味がやや沈んで見えることがあります。モニターは光を発して色を表現するのに対し、印刷物はインクの反射で色を表現するため、両者で見え方に差が生まれるためです。
とくにチラシやポスターなどの印刷物として仕上げる場合は、次の工程で明るさに余裕を持たせておくと、仕上がりの印象が安定します。データを入稿する前に、印刷会社が提供している色見本やプレビュー機能を活用して、実際の仕上がりに近いイメージを確認しておくと安心です。

【補足】青空を夕焼け空にすることも可能!

「空を置き換え」では、青空だけでなく夕焼け空への変更も可能です。プリセットの「夕暮れ」グループを選ぶだけで、ドラマチックな空へと仕上げられます。
夕焼け空に変更すると、空の色味だけでなく、前景の色合いも自動的に調整されます。ひとつの画像から昼と夕方の2種類の雰囲気を演出できるのは、この機能ならではの魅力です。落ち着いた雰囲気を出したいときや、季節感を演出したいときなど、用途に応じて使い分けられます。
1:加工したい画像を開く

青空にする場合と同様に、まずは加工したい画像をPhotoshopで開きます。元データはコピーしておくと安心です。
2:「空を置き換え」から好みの空を選択する

「編集」から「空を置き換え」を選択し、プリセットの「夕暮れ」グループから好みの空を選びます。
3:色味を調整して完成

「エッジをシフト」「エッジをフェード」「空の調整」「前景の調整」を使って、全体の色味をなじませれば完成です。青空のときと同じ手順で調整できるため、迷わず作業を進められます。
「空を置き換え」で自前の画像を使う方法


プリセットの空だけでなく、自分で用意した画像を空として合成することもできます。特定の建物や観光地で撮影した空を使いたい場合など、決まった画像を使う場面で役立つ方法です。
「空を置き換え」パネルを開き、パネル内にある「+」アイコンをクリックすると、パソコン内の画像を空として読み込めます。読み込んだ画像は自動的に空として認識され、元の画像に合成されます。
合成後の調整方法は、プリセットを使うときと同じく「エッジをシフト」などのスライダーで行えます。ただし、読み込む空の画像は解像度が低すぎると粗く表示されることがあるため、なるべく高解像度のものを用意しておくと仕上がりが安定します。
また、自分で撮影した空の写真を使う場合は、雲の流れる方向や光の当たり方が元の画像と大きく異なると、合成後に違和感が出やすくなります。似た時間帯や天候で撮影した空を選ぶと、より自然になじみやすくなるでしょう。水平線がまっすぐに写っている横位置の写真を選ぶと、境界線もなじませやすくなります。
なお、インターネット上で見つけた画像を空として使う場合は、著作権や利用規約を確認したうえで使用してください。権利関係が不明な画像は避け、自分で撮影した写真や、利用が認められている素材を使用することが大切です。
空の無料プリセット素材をダウンロードする方法

Photoshopでは、標準のプリセットに加えて、Adobeの公式サイトから追加の空素材を無料でダウンロードできます。表現の幅を広げたい場合に便利です。
「空を置き換え」パネルの設定アイコンから「他の空を取得」を選択すると、ブラウザでダウンロードページが開きます。
このとき、Adobeのアカウントにログインしていない場合は、自動的にログイン画面が表示されることがあります。案内に沿って進めれば、とくに難しい操作は必要ありません。
好みの空のパックを選んでダウンロードすると、拡張子が「.sky」のファイルが保存されます。追加する際は、同じく設定アイコンから「他の空を取得」→「プリセットを読み込み」を選び、ダウンロードした.skyファイルを指定します。
あるいは「空を置き換え」パネルを閉じた状態で、.skyファイルをPhotoshopの画面上にドラッグ&ドロップしても読み込めます。自分で空を撮影しに行く手間が省けるため、時短にもつながる方法です。
標準のプリセットにはない、雷雲や星空、花火といった個性的な空も用意されています。これらは、プロの写真家が撮影した素材を中心としており、質の高い仕上がりが期待できます。追加したプリセットは、パネルを開き直して一覧に表示されているか確認しておくと安心です。
こちらの記事では、Photoshopで画像をきれいに切り抜く方法について解説しています。 7つの切り抜き方法や、切り抜きができない原因と解決方法も取り上げているため、 ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
Photoshopの「空を置き換え」を使えば、曇り空も短時間で自然な青空に仕上げられます。プリセットから好みの空を選ぶだけでなく、自前の画像や無料の空素材も活用できるため、仕上げたいイメージに合わせて調整できます。
Photoshopで作成したデザインをチラシやポスターなどの印刷物に仕上げる際は、ぜひWAVEにお任せください。WAVEでは、チラシやポスター、パンフレット、名刺など幅広い印刷商品を取り扱っており、折り加工や表面加工、箔押し加工をはじめとした多彩な加工オプションもご用意しています。
また、データチェックから印刷・加工まで社内一貫で対応し、安定した品質の印刷物をスピーディーにお届けできる体制を整えています。JAPAN COLOR認証も取得しており、印刷品質の安定化にも取り組んでいます。
「データの作り方に不安がある」「デザインから依頼したい」という場合には「デザイン制作プラン」やデータ修正にも対応しています。デザイナーが直接対応するため、Photoshopでのデータ作成から印刷までまとめて相談したい方にもご利用いただけます。
データ作成から印刷・加工まで、お客様の印刷物づくりをサポートいたします。
本記事は2023年10月16日に公開したものをリライトしています。
この記事を書いた人:WAVEブログ編集部 WEBチーム
普段はWebサイトの運営や改善、商品PRを担当しています。サイト運営の傍ら、新商品案内から販促・データ作成のTips、WAVEの社内情報まで幅広く執筆中!印刷やビジネスに即役立つ情報をお届けします!
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