印刷用語集

2026.01.23  

白銀比とは?身近な例や黄金比との違い・デザインへの取り入れ方を解説

白銀比とは?身近な例や黄金比との違い・デザインへの取り入れ方を解説

「白銀比」という言葉を耳にしたことはありますか?

白銀比は、1:1.414という比率で、日本の伝統的なデザインにも多く使われてきました。例えば、法隆寺の五重塔や東京スカイツリー、さらにはドラえもんやハローキティにもこの比率が活かされています。実は、A4やB5といった用紙規格にも取り入れられており、日常の中に自然に溶け込んでいることに気づいていないだけかもしれません。

本記事では、白銀比の魅力や、黄金比との違い、そしてデザインへの取り入れ方を身近な例とともに、わかりやすく紹介します。あなたのデザインに新たな視点を加えるヒントがきっと見つかります。

白銀比とは

白銀比とは、縦と横の比率が1:√2となり、約1:1.414になる比率のことです。整数で近似すると5:7になります。

白銀比とは

白銀比は「貴金属比」と呼ばれる美しい比率のグループに属しています。貴金属比には黄金比(1:1.618)や青銅比(1:3.303)などがあり、人が見たときに安定感や美しさを感じやすい比率として知られています。

白銀比には2つの種類があります。1つ目は1:√2(約1:1.414)の比率で「大和比」と呼ばれます。もうひとつは1:1+√2(約1:2.414)の比率で「第二貴金属比」と呼ばれています。一般的に白銀比といえば、日本で広く使われている大和比(1:√2)を指します。

白銀比が「大和比」と呼ばれる理由は、日本で古くから親しまれてきたからです。正方形の一辺と対角線の長さの比が1:√2となり、この比率が日本文化で多く見られる形状とよく合っていました。

たとえば折り紙や風呂敷、枡、畳など、正方形を基調とした道具や生活用品が多かったことから、白銀比は自然と生活の中に根付いているのでしょう。

白銀比が与える印象

白銀比は、見る人に「かわいらしさ」「親しみやすさ」「安定感」といった印象を与えます。

白銀比は黄金比(1:1.618)と比べると縦横の差が小さい比率です。この比率をキャラクターのデザインに当てはめると、頭が大きく等身が低い形になり、かわいらしさや親しみやすさが強く感じられます。

また、白銀比は正方形に近いため、視覚的に安定感を与えます。一方、黄金比は動的で活動的な美しさをもたらしますが、白銀比は静的で落ち着いた印象を引き出せるでしょう。

書籍では「日本人が好む四角形の比率」として、白銀比に近い比率、正方形、黄金比に近い比率が上位に挙がるという紹介もあります(出典:中村滋『フィボナッチ数の小宇宙』を引用した解説)。この結果からも、白銀比が日本人の感性に馴染みやすい比率であることが分かります。

販促物で信頼感や安心感を伝えたいときには、白銀比の持つ安定した印象が効果的です。また、キャラクターグッズや子ども向けの制作物では、かわいらしさや親しみやすさを自然に演出できます。

身近なものに隠れている!白銀比の例

白銀比は、私たちの身の回りに数多く存在しています。具体的な例として、次のようなものがあります。

  • 用紙規格(A4やB5など)
  • 建築物(法隆寺、東京スカイツリーなど)
  • 芸術作品(浮世絵、仏像など)
  • キャラクター(ドラえもん、ハローキティなど)

用紙規格

私たちが日常的に使用しているA判やB判の用紙は、すべて白銀比に基づいています。A4やA3、B5、B4といったサイズはいずれも縦横の比率が1:√2です。

この規格の大きな特徴は、紙を半分に折っても比率が変わらないことです。たとえばA4用紙を半分に折るとA5になりますが、縦横の比率は1:√2のまま変わりません。これは「自己相似性」という性質です。自己相似性とは、同じ比率を保ちながら拡大や縮小が可能な性質のことです。この性質があるため、使い勝手が非常に良いとされています。

【A判とB判の違い】
A判とB判はどちらも白銀比を採用していますが、そのルーツは異なります。

  • A判:ドイツで考案された規格を基にしており、日本では1929年に採用されました。
  • B判:江戸時代に日本で使われていた公用紙「美濃判」が元になっています。

白銀比を基準とした用紙規格は、拡大や縮小を行っても縦横の比率が変わらないため、デザイン調整がしやすい点がメリットです。チラシやポスター、パンフレットを複数のサイズで展開する場合でも、レイアウトの安定性を保ちやすく、印刷業界にとって非常に便利な仕様といえます。

建築物

白銀比は、日本の伝統建築から現代建築まで、さまざまな建造物に取り入れられています。

たとえば、法隆寺は607年に建立されたといわれる世界最古の木造建築物を有する寺院です。とくに西院伽藍内の五重塔や金堂は、最古の木造建築として知られています。1993年に世界文化遺産に登録されました。

法隆寺の金堂では、1階の身舎(もや)の幅と2階の屋根の幅が白銀比になるとされます。五重塔では、1階と最上階の屋根幅が白銀比に近い構成です。銀閣寺では、1階の屋根幅と2階の屋根幅の比率に白銀比が用いられているといわれ、伊勢神宮でも同様の比率が確認できるとされています。

現代建築では、東京スカイツリーが代表的な例です。2012年に完成した高さ634mの自立式電波塔で「第二展望台までの高さ」と「全体の高さ」の比率が白銀比に基づいています。

さらに、法隆寺の五重塔で培われた耐震構造の知恵を参考にしたという説もあり、白銀比は美しさだけでなく、構造の安定性とも関連しているといわれています。

芸術作品

白銀比は、日本の伝統的な芸術作品にも見られます。仏像の顔や全身のプロポーションの縦横比に白銀比が用いられている例があり、興福寺の阿修羅像はその代表といわれています。また、浮世絵の構図にも白銀比が取り入れられているとされ、日本の美術に深く根付いた比率であることが分かります。

日本の絵画には、簡素で均整のとれた形態を大切にする美意識があります。白銀比はこの美意識を体現する比率として長く機能し、作品全体に落ち着きや調和をもたらしてきました。

キャラクター

日本で愛されている国民的キャラクターの多くには、白銀比が採用されています。

ドラえもんやアンパンマン、ハローキティ、となりのトトロなどは、横幅と身長の比が白銀比に近い構成になっています。丸みを帯びた体型や、頭が大きく等身が低いデザインは、白銀比がもたらすかわいらしさと親しみやすさをよく表しています。

スヌーピーのように、海外から生まれたキャラクターの中にも白銀比が取り入れられている例があります。これらのキャラクターに共通するのは、長い年月を通して幅広い世代に親しまれている点です。白銀比による安定感とかわいらしさが、多くの人の心をつかみ続ける一因となっています。

白銀比と黄金比・青銅比の違い

白銀比と似た概念として、黄金比や青銅比があります。これらはいずれも「貴金属比」と呼ばれる美しい比率のグループに属していますが、それぞれに異なる特徴があります。

黄金比とは

黄金比とは、縦と横の比率が約1:1.618となる比率のことです。近似的には5:8で表されます。

黄金比とは

古代ギリシアの数学者ユークリッドが著書「原論」で言及して以来、人が最も美しいと感じる比率として長く親しまれてきました。スタイリッシュで動的な印象を与える点が特徴で、とくに西洋で好まれてきた比率です。

黄金比は自然界にも多く見られます。「フィボナッチ数列」と呼ばれる数列の隣り合う数の比を求めると、数列が進むにつれて黄金比に近づいていきます。ひまわりの種の配列や松かさのスパイラルパターンなど、自然の成長過程に黄金比が現れる例は少なくありません。

黄金比が使われているものの例

黄金比は、世界各地の歴史的建造物や美術品に採用されています。建築物では、パリの凱旋門やギリシャのパルテノン神殿、スペインのサクラダ・ファミリアが代表的な例です。

美術作品では、ミロのヴィーナスやレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」に黄金比が見られるとされています。葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景・神奈川沖浪裏」も、構図に黄金比が取り入れられているといわれています。

日用品の中では、名刺の一般的なサイズである55mm×91mmが黄金比に近い比率(約1:1.65)で作られています。日常に身近なアイテムにも黄金比が用いられていることから、その普遍的な美しさがうかがえます。

青銅比とは

青銅比は「第3貴金属比」とも呼ばれ、縦と横の比率が約1:3.303となる比率です。近似的には3:9で表されます。

青銅比は黄金比や白銀比と比べると認知度が低く、詳しい歴史的背景もあまり明らかになっていません。かなり横長の比率になるため、使用される場面は限られています。

デザインに採用される例は多くありませんが、ウェブサイトのメインビジュアルの縦横比を決める際に青銅比を参考にすることがあります。画面の横幅いっぱいに表示される大きな画像では、高さをどれくらいに設定するかで印象が大きく変わります。青銅比を用いると、視覚的に安定した印象を与えられる場合があります。

私たち日本人にとっては、青銅比よりも1:1の正方形の方が身近に感じられるかもしれません。黄金比や白銀比と比べると、青銅比はより特殊な用途に限られる比率といえるでしょう。

弊社ブログでは、黄金比と白銀比のデザインについて分かりやすく紹介しています。こちらもあわせてご覧ください。

簡単!白銀比の作り方

白銀比(1:√2)の長方形は、正方形と対角線を使うと簡単に作図できます。

  1. 正方形を描く
    まずは、好きな大きさの正方形を描きます。
  2. 対角線を引く
    正方形の左下の角から右上の角へ、対角線を1本引きます。このとき三平方の定理より、正方形の一辺を「1」とすると対角線の長さは $ \sqrt{2} $ になります。つまり、一辺:対角線=$ 1:\sqrt{2} $ です。
  3. 底辺を延長する
    正方形の底辺を、右方向へまっすぐ延長します。
  4. コンパスで倒す
    コンパスの針を左下の角に刺し、右上の角までの長さ(=対角線)を取ります。そのままコンパスを回し、底辺の延長線と交わる点に印を付けます。
  5. 長方形を完成させる
    交点をもとに縦線を引いて長方形を作ると、縦:横=1:√2の白銀比の長方形が完成します。

白銀長方形には興味深い性質があります。白銀長方形を長辺で2分すると、どちらも同じ白銀比を保った長方形になります。これは「自己相似性」と呼ばれる性質で、A判やB判の用紙が半分に折っても同じ比率を保つ理由でもあります。

日本の大工道具である「曲尺(さしがね)」には、裏面に√2倍した数値(角目)が刻まれています。丸太の直径を角目で測れば、正方形の一辺に相当する長さを簡単に求められるため、日本の木造建築で白銀比を用いる際の実用的な道具として活躍してきました。

白銀比を取り入れた印刷物のレイアウトの例

白銀比を実際のデザインに取り入れる方法を紹介します。

  • メイン画像や重要なブロックの縦横比を白銀比にする
  • ページを白銀比で分割する
  • ロゴやキャラクターのデザイン

チラシやポスターのレイアウトでは、メイン画像や重要なブロックの縦横比を白銀比にすると、安定感のある配置が実現できます。たとえばA4サイズのチラシでメインビジュアルの横幅を200mmにする場合、縦は約283mmになります。比率が整うことで、視線の流れが自然になり、全体の印象も落ち着きます。

ページを白銀比で分割する方法も有効です。ページ上部にタイトルやメイン画像を置き、下部に本文や連絡先を配置する際、上下の比率を1:1.414にすると、それぞれのエリアが自然に調和し、メリハリのあるレイアウトになります。

ロゴやキャラクターのデザインにも白銀比は活用できます。キャラクターの横幅と身長の比を白銀比にすると、かわいらしさや親しみやすさを表現しやすくなります。また、画像のトリミングにも応用でき、複数の画像を白銀比の枠で統一すると、デザイン全体に一貫性が生まれます。

白銀比を取り入れて制作物のデザインに統一感を出そう

デザインに統一感を持たせることは、企業やブランドのイメージを確立するうえで重要です。しかし、多くの企業が統一感の維持に課題を抱えています。

独自の調査では「複数の印刷物を作成する際、デザインの統一感を意識していますか」という質問に対し「非常に意識しており、ガイドラインに沿って制作している」と答えたのは20.7%に留まりました。

一方で「ある程度意識しているが、明確なルールはない」が58.7%となり、統一ルールの必要性を感じながらも実行に移せていない企業が多いことが分かります。

デザインに統一感がないと、ブランドイメージが定着しにくくなり、関係者間で認識のずれも生じやすくなります。そこで有効なのが白銀比の活用です。

【白銀比の強み・メリット】
白銀比の強みは、見た目のよさだけではありません。比率が明確に1:√2で定まっているため、担当者ごとの感覚の違いによるズレを防げます。たとえば「各パーツの大きさやレイアウトは白銀比を基準にする」といったルールを設けると、複数の印刷物に自然な統一感が生まれます。

白銀比はA判・B判の用紙規格にも採用されているため、サイズ展開を行う際にも便利です。A4サイズで制作したデザインをA3やA5に拡大縮小しても、白銀比を基準にしていればレイアウトのバランスが崩れにくくなります。

WAVEでは、チラシ、ポスター、名刺、封筒、パンフレットなど、さまざまな印刷物を高品質、短納期、低価格で提供しています。デザインの統一性に悩む担当者の方は、白銀比を取り入れたデザインルールの導入をぜひ検討してみてください。

調査データ引用元:https://www.wave-inc.co.jp/weblog/?p=31651

デザインソフトなら白銀比のサイズを指定するだけ!

デザインソフトを使えば、白銀比の適用はとても簡単です。PhotoshopやIllustratorでは、長方形のサイズを1000×1414に設定するだけで白銀比になります。一度比率を設定しておけば、拡大や縮小も自由に行えます。

たとえば横幅を500ピクセルにしたい場合は、縦を707ピクセル(500×1.414)に設定すれば白銀比になります。このように具体的な数値を把握しておくと、面倒な作図を行う必要はなく、数値を指定するだけでスムーズにデザインを開始できます。

レイアウトソフトやウェブデザインツールでも同じ方法で活用できます。ボックスやフレームのサイズを白銀比に設定することで、全体に統一感のあるデザインを簡単に実現できます。

まとめ

白銀比は1:√2(約1:1.414)で表され、古くから日本で親しまれてきた美しい比率です。法隆寺や東京スカイツリー、ドラえもんなど幅広い分野で採用されています。白銀比が与える「かわいらしさ」「親しみやすさ」「安定感」は、デザインの目的に応じて効果的に活かせます。A判やB判の用紙にも使われているため、印刷物制作でも実用性が高い比率です。

白銀比を取り入れることで統一感のあるレイアウトを実現でき、担当者間の感覚のズレを防ぎ、制作の効率化にもつながります。

WAVEは、2000年から高品質なネット印刷サービスを提供し、チラシ・ポスター・名刺・封筒・パンフレットなど、さまざまな印刷物を短納期、低価格でお届けしています。

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