Illustratorでチラシやバナーを制作していると、吹き出しを使いたい場面はよくあります。セール情報の訴求、お客さまの声の紹介、重要なポイントの強調など、吹き出しは幅広いデザインで活用できる要素です。
一方で「楕円と三角形を組み合わせても、きれいな形にならない」「もっとインパクトのある表現にしたい」と感じる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、Illustratorで作れる基本的な吹き出し3種類に加え、集中線型の作り方や、おしゃれに見せるアレンジ方法を順に解説します。
図形の作成やパスの編集といった基本操作も身につくため、Illustratorを使い始めたばかりの方にもおすすめです。
【基本の3種】イラレでシンプルな吹き出しを作る方法
株式会社NEXERとWAVEが共同で実施したアンケート調査では、印刷物を発注・制作する際に「具体的にどのような点で困りましたか?」と質問したところ「データの作成方法が分からなかった(Illustrator、Photoshopなど)」という回答が全体の12.8%を占めていました。
アンケート引用元:https://www.wave-inc.co.jp/weblog/?p=31651
近年のデザインツールは多機能である一方、操作の難しさを感じる方も少なくないようです。
だからこそ、まずは使用頻度の高い操作から身につけることが大切です。吹き出しは広告、ポスター、バナーなどでよく使われるデザイン要素であり、Illustratorの基本操作を学ぶ題材にも向いています。
吹き出し作りを通じて、図形の作成、パスの編集、オブジェクトの合体といった操作を自然に練習できます。このような作業からIllustratorの操作に慣れていきましょう。
ここでは、初心者の方でも取り組みやすい3種類の作り方を紹介します。
楕円形の吹き出しの作り方
吹き出しのなかでも、特に使いやすいのが楕円形です。会話文やコメントの表示、情報の強調など、幅広い用途に対応できます。
楕円形の吹き出しを作る方法は、大きく分けて2つあります。しっぽの形を細かく調整したい場合はアンカーポイントを追加する方法、手軽に作りたい場合は図形を組み合わせる方法がおすすめです。
アンカーポイントを追加する方法
既存の楕円にしっぽを直接作る方法です。後から形を細かく調整しやすく「根元をもう少し広くしたい」「先端の角度を変えたい」といった修正にも対応しやすい点が特長です。
- 楕円を描く:楕円形ツールでアートボード上をドラッグし、楕円を作成します。正円にしたい場合は、Shiftキーを押しながらドラッグしてください。
- アンカーポイントを追加する:ペンツールに切り替え、楕円の輪郭上でしっぽを出したい位置の両脇2か所をクリックして、楕円の輪郭上にアンカーポイントを追加します。
- しっぽを引き出す:ダイレクト選択ツールに切り替え、追加した2つのアンカーポイントの間にある既存のアンカーポイントを外側へドラッグします。楕円からしっぽが伸びたような、吹き出し口の形を作ります。
- 形を整える:引き出したアンカーポイントや周囲のハンドルを調整し、しっぽの向きや根元の広がり、曲線を整えます。しっぽの先端を尖らせたい場合は、アンカーポイントツールで先端のアンカーポイントをクリックし、角のある形に変更します。 慣れるまでは少し時間がかかりますが、しっぽの向きや角度を自由に調整できるようになると、表現の幅が広がります。
こちらの記事では、Illustratorでのイラストの塗り方と線のつけ方について解説しています。 印刷向けのカラー設定やきれいな破線の描き方も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
図形を組み合わせる方法
楕円と三角形を別々に作り、パスファインダーで合体させる方法です。手順がわかりやすく、初めて吹き出しを作る方でも形を整えやすいでしょう。
- 楕円を作成する:楕円形ツールで楕円を作成します。
- 三角形を作成する:多角形ツールを選択し、アートボード上でクリックしてダイアログを開きます。辺の数を「3」に設定すると、三角形を作成できます。ドラッグ中にキーボードの「↓」キーを押して、辺の数を減らす方法もあります。
- 三角形を配置する:三角形を楕円の端に重なるように配置します。先端が少しだけ楕円からはみ出る程度を目安にしてください。三角形が大きすぎると、全体が野暮ったく見える場合があります。
- 合体させる:選択ツールで楕円と三角形の両方を選択し「ウィンドウ」→「パスファインダー」を開きます。「形状モード:合体」をクリックすると、ひとつの吹き出しとしてまとめられます。
合体するときにOptionキーまたはAltキーを押しながらクリックすると、複合シェイプとして作成できます。複合シェイプでは、合体後も楕円と三角形を個別に動かせるため、しっぽの向きや角度を後から微調整したい場合に便利です。
修正のたびに最初から作り直す手間を減らせるため、実務で吹き出しを扱う機会が多い方は覚えておくとよいでしょう。
雲形の吹き出しの作り方
モコモコとした雲形の吹き出しは、心の声や夢の内容を表現するときによく使われます。やわらかく親しみやすい印象を演出したい場合にも向いています。
作る際のポイントは、複数の楕円を重ね合わせて、ひとつの形にまとめることです。
- 楕円を配置する:楕円形ツールで大小さまざまな楕円を複数作成し、重ねながら雲のような輪郭を作ります。隣り合う楕円は少しずつ重なるように配置してください。隙間があると、合体後も空白として残ってしまいます。楕円を均等に並べすぎず、大きさに変化をつけると、自然なモコモコ感が出ます。
- 合体させる:すべての楕円を選択し、パスファインダーの「合体」でひとつの形にまとめます。楕円の数を増やすとふっくらとした印象になり、少なめにするとすっきりとしたシルエットになります。
- しっぽを作る:小さな楕円を3〜4個ほど縦に並べ、同じようにパスファインダーで合体させます。本体の端に添えると、雲形の吹き出しが完成します。
雲形の吹き出しには正解がありません。楕円の数や大きさ、配置の仕方によって印象が変わるため、デザインに合わせてバランスを調整してみてください。
ギザギザの吹き出しの作り方
ギザギザの吹き出しは「緊急」「注目」「叫び」といった、強い印象を与えたい場面に適しています。セールや期間限定のオファーを訴求するチラシ、目を引くポップなどで活用しやすい形です。
Illustratorのエフェクト機能を使えば、ひとつずつ手作業でギザギザを作らなくても、効率よく表現できます。
- 楕円を作成する:楕円形ツールを選択し、アートボード上をドラッグして、好みの大きさの楕円を作成します。
- ジグザグ効果をかける:「効果」→「パスの変形」→「ジグザグ」を選択します。「大きさ」を大きくするとギザギザの高さが増し「折り返し」の数を増やすと細かいギザギザになります。
- 最初は、大きさを「3〜5mm」折り返しを「10〜15」程度に設定し、仕上がりを確認しながら調整するとよいでしょう。
- パンク・膨張を重ねる:「効果」→「パスの変形」→「パンク・膨張」を追加すると、ギザギザの先端を尖らせたり、丸みを持たせたりできます。デザインの雰囲気に合わせて調整してください。
- 必要に応じてしっぽを追加する:しっぽを付けたい場合は、ペンツールでしっぽを描き、パスファインダーで本体と合体させます。デザインや用途に合わせて調整しましょう。
設定数値を少し変えるだけでも印象が大きく変わるため、デザインのトーンや用途に合わせて試してみましょう。
【応用編】インパクト抜群!イラレで集中線型の吹き出しを作る手順
集中線型の吹き出しは、四方から線が集まる放射状のデザインが特長です。マンガやポップ広告でよく使われ「驚き」「興奮」「勢い」といった感情を視覚的に伝えたいときに役立ちます。
楕円形の吹き出しよりも視覚的なインパクトが強いため、チラシやバナーのなかで特に目立たせたい情報に使うと効果的です。集中線の密度や線の太さを変えることで、勢いの強弱も調整できます。
ここでは、ブラシ機能を使った作り方を紹介します。
- 直線を描く:直線ツールを使って、縦方向に短い直線を1本描きます。この線が、集中線を構成する1本のもとになります。線の長さや太さによって、完成後の印象が変わります。
- パターンブラシに登録する:描いた直線を選択したまま「ウィンドウ」→「ブラシ」でブラシパネルを開きます。「新規ブラシ」アイコンをクリックし「パターンブラシ」を選択して名前を付けて保存します。パターンブラシオプションで「回転の基準」を「パス」に変更しておくと、円のパスに沿って直線の向きが調整され、放射状に配置されやすくなります。
- 正円を描く:楕円形ツールでShiftキーを押しながらドラッグし、正円を作成します。この円が、集中線を配置するための軌道になります。
- ブラシを適用する:正円を選択した状態で、登録したブラシをブラシパネルからクリックして適用します。円のパスに沿って放射状に線が並び、集中線の土台ができ上がります。
- 線を調整する:ブラシのオプションで「サイズ」「間隔」「散布」をランダムに設定し、数値を調整することでより動きのある表現になります。
- 吹き出し本体を重ねる:中央に楕円形などの吹き出し本体を重ねれば完成です。
一度登録したブラシは、ほかのデザインにも使い回せます。設定を変えたパターンをいくつか作っておくと、制作を効率化しやすくなります。
【おしゃれアレンジ】イラレの吹き出しを今っぽく装飾・加工する裏技

基本の吹き出しを作れるようになったら、アレンジを加えて印象を変えてみましょう。ここでは、今っぽいアレンジ方法を2つ紹介します。
近年は、きれいに整えすぎない「ゆるさ」や「抜け感」のあるデザインも多く見られます。吹き出しも少し崩したり、あえてずらしたりすることで、親しみやすく今っぽい印象を演出できます。
自作でのアレンジに挑戦しながら、デザインに自信がない方や、印刷物全体の完成度をもっと高めたい方は、WAVEのデザイン制作サービスを活用するのもひとつの方法です。チラシやバナーのデザインから制作まで、プロのクリエイターに一括してご依頼いただけます。
塗りの楕円をずらす・三角部分を1本線にするアレンジ

基本の吹き出しを作ったあと、塗りのオブジェクトと線のオブジェクトを少しずらして配置すると、版ずれ風のアレンジができます。ずれそのものがデザインのアクセントになり、整いすぎない軽やかな印象を与えられます。
- 楕円を2つ用意する:ひとつは「線のみ」もうひとつは「塗りのみ」に設定します。
- 楕円をずらす:2つの楕円の中心をわずかにずらして重ね合わせます。ずらす幅は、楕円の直径の5〜10%程度を目安にすると自然に見えやすくなります。大きくずらしすぎると不自然に見えるため、仕上がりを確認しながら調整してください。
- しっぽを1本線にする:吹き出し口の三角部分を、太さのある1本の直線に置き換えます。三角形を使わないことで、軽やかですっきりとした印象に仕上がります。
- 線の一部をカットする:楕円の線の一部をカットすると、線が途切れ開放的なデザインになります。カットする位置は、直線の近くとその対角線上にすると、全体のバランスを取りやすくなります。
完成した吹き出しは、やわらかさと遊び心を感じさせる仕上がりになります。SNS向けバナーや、ナチュラルテイストのチラシとも相性のよいアレンジです。
三角部分をねじってゆるい雰囲気を出すアレンジ

吹き出し口をアンカーポイントツールで調整することで、先端をくるっとねじったような独特のシルエットを作れます。
少し上級者向けのテクニックですが、一度覚えると印象的なデザインの幅が広がります。
- 吹き出しを用意する:基本の楕円形吹き出しを作り、パスファインダーで合体させておきます。
- 根元のアンカーポイントを操作する:しっぽの根元にある2つのアンカーポイントにも同様にハンドルを出し、パスがなめらかな曲線になるようにドラッグします。
- 先端のアンカーポイントを操作する:アンカーポイントツールを選択し、三角部分の先端にあるアンカーポイントをドラッグします。コーナーポイントがスムーズポイントに変わり、ハンドルを使ってパスが交差するように調整すると、先端がくるっとねじれたような形になります。
- 全体を微調整する:アンカーポイントやハンドルの位置を調整し、全体のバランスを整えれば完成です。前述の版ずれ風アレンジと組み合わせると、さらにおしゃれな印象を演出できます。
どちらのアレンジも、完成後に色や線の太さを変えることで、チラシやバナーのトーンに合わせた幅広い表現が可能です。ベーシックな吹き出しにひと手間加えるだけでも、デザイン全体の完成度を高められます。
まとめ
吹き出しは、楕円形・雲形・ギザギザ・集中線型を使い分けることで、伝えたい情報やデザインの雰囲気に合わせた表現ができます。
まずは楕円形の吹き出しから始め、図形の合体やパスの編集に慣れていきましょう。複合シェイプを活用すれば、完成後の修正にも対応しやすくなります。
さらに、版ずれ風のずらしや、しっぽをねじるアレンジを加えると、ありきたりになりがちな吹き出しにも個性を出せます。
自分で作るのが難しい場合や、プロ品質の印刷物に仕上げたい方には、WAVEへのご依頼もおすすめです。チラシやバナーのほか、のぼり、パッケージなど多彩な印刷物のデザイン制作から印刷まで、まとめて依頼できます。ぜひWAVEにご相談ください。
WAVEでは名刺・ポスター・パンフレットをはじめ、チラシ印刷や中綴じ冊子など多彩な印刷物をネット通販で承っています。デザイン制作のご相談も可能ですので、お困りの際はぜひお問い合わせください。
この記事を書いた人:WAVEブログ編集部 デザインチーム
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