Illustratorで描いたイラストや図形は、どうしても幾何学的で無機質な印象になりがちです。もっと温かみのあるデザインにしたい、SNSやチラシで目を引く手描き風のタッチにしたいと感じる方もいるでしょう。
絵を描くことに自信がない方や、ペンタブを持っていない方でも問題ありません。Illustratorには、既存のイラストや図形を後から手描き風にアレンジできる機能がそろっています。
さらにアピアランスパネルを使えば、非破壊編集ができます。元の形を残したまま調整できるため、後から何度でも見直せます。
この記事では、線のアレンジから色の調整、質感の追加まで、手描き風デザインを作る具体的な方法を段階的に解説します。画面上で整えて終わりにせず、印刷物として仕上げるときの注意点もお伝えします。
手描き風のぬくもりを足して、印刷物の印象をもっと引き上げましょう。
イラレで手描き風にアレンジする方法
イラレのペンツールを使って絵を描いてみたものの、どうしても堅くてのっぺりとした印象になってしまうことがあります。
そんな時に、3つの簡単なステップで柔らかい雰囲気に仕上げる方法をご紹介します。
手描き風に見えるアレンジを加えて、イラストに一工夫してみましょう。
Step.1 線をアレンジする
線画のイラストが完成したところからのスタートです。

破線に変更【線パネル】
線幅:4pt
線分と間隔:10/5/100/10pt
線幅を変更【線幅ツール】
線の太さに強弱をつけます。ここでは、両端と中央だけが細くなるように設定しました。
余談ですが、線幅を設定できたら、この形状を【線パネル】の[プロファイル]に追加しておくと便利です。 他のオブジェクトにも線幅を設定する際、プロファイルから選ぶだけで反映されますよ。

線の色を変更【アピアランスパネル】
ここでは、C60、M60、Y100、K30に変更しました。
Step.2 色をつける
線のアレンジが整ったら、次は色を加えていきます。ライブペイントツールを使うと、塗りたい部分をクリックするだけで直感的に色を入れられます。
塗りに色をつける【ライブペイントツール】
ライブペイントツールは、Photoshopの塗りつぶしツールのような感覚で塗りに色を付けることができるツールです。通常どおり[塗りと線]で色付けしてもOKです。
見本では、体はベージュ、ハートはピンク、目と鼻は茶色に色づけました。
塗りと線を分割
メニューから[オブジェクト]⇒[アピアランスを分割]を選択。塗りと線を分割したら、塗りを斜め下にずらします。
塗りと線をずらすことで、ぐっと手描き感が増しますよ!
Step.3 色をアレンジする

色を塗るだけだと、どうしても平面的に見えやすいです。そこで、グラデーションやテクスチャを使って、立体感と質感を足していきましょう。
グラデーションに変更
軽く立体感をつけたり、ほっぺをふんわりと色付けて完成度をアップ!オブジェクトを選択したら【グラデーションパネル】の[種類]をクリックして色を調整します。【グラデーションツール】でさらに調整します。

テクスチャを重ねる
水彩画風の画像を別途用意し、イラストの上に配置。【透明パネル】で[オーバーレイ]を選択し、[不透明度]を70%に設定します。イラスト全体が、水彩絵の具で色付けたようなふんわりとした質感が生まれます。

その他イラレで手描き風にする方法
幾何学的に整える方法だけでなく、素材そのものを活かすアプローチもあります。たとえば本物の手描きをデータ化したり、ブラシの種類を変えたりすると、よりアナログに近い表現に寄せられます。
本物の手描きを画像トレースしてデータ化する
絵に自信がない方でも、紙に書いたサインや簡単な図形をスキャンしてデータ化すれば、唯一無二の手描き素材として活用できます。
手描きのラフを画像にする手順はシンプルです。白い紙に文字や図形をはっきり描き、スマートフォンで撮影するか、スキャナーで取り込みます。データサイズは縮小せず、そのままIllustratorに配置しましょう。
画像を選択したら、上部メニューで「ウィンドウ」から「画像トレース」を選びます。画像トレースパネルで「プレビュー」を押して仕上がりを確認し、問題がなければ「拡張」をクリックしてください。


トレース後は黒と白の2色に分かれるため、不要な部分があれば削除しておきます。線のブレや太さのばらつきが残ると、手描きらしい味わいにつながります。
ペンツールと曲線ツールを組み合わせる方法もおすすめです。手描きのラフをペンツールで直線的にトレースした後、曲線ツールでアンカーポイントをダブルクリックすると、角のある線がなめらかな曲線に変わります。

曲線がうまく引けないと感じる方でも、この手順なら取り組みやすいでしょう。
より詳しいトレース方法やペンツールの使い方は、以下の記事も参考にしてください。
- Illustratorの曲線ツールで簡単イラスト作成:https://www.wave-inc.co.jp/weblog/?p=30984
- Illustratorを使ってイラストを描こう!第1回:線画編:https://www.wave-inc.co.jp/weblog/?p=4024
ブラシ設定で雰囲気を変える
鉛筆や水彩など、標準搭載のブラシライブラリを選ぶだけでも、線のタッチは大きく変わります。ブラシパネル下部の「ブラシライブラリメニュー」アイコンをクリックし「アートブラシ」から「木炭、鉛筆」や「インク」などを選択します。

ブラシは、線を描いた後でも変更できます。すでに描いた線を選択し、ブラシパネルで好みのブラシをクリックするだけです。あわせて線の太さも調整すると、より自然に見えます。
さらに手描き感を出したい場合は、パスの変形機能「ラフ」を併用します。メニューから「効果」→「パスの変形」→「ラフ」を選び、サイズや詳細の数値を調整してください。サイズは山の大きさ、詳細はギザギザを作る点の数に関わります。
プレビューにチェックを入れると、結果を見ながら調整できます。仕上がりのイメージが固まるまで、微調整しやすい点も便利です。

ラフ効果は分割や拡張の作業が不要で、Illustrator形式のまま入稿できる点も魅力です。イラストに効果を加えて完成度を高める方法は、以下の記事も参考にしてください。
・Illustratorを使ってイラストを描こう!第3回:効果をつけて完成度をアップ!:https://www.wave-inc.co.jp/weblog/?p=4962

線幅ツールで線に強弱をつける
線幅ツールを使うと、線の途中で太さを自由に変えられます。筆圧のような自然な強弱をつけると、手描き感がいっそう出ます。
線を選択した状態で、ツールパネルから線幅ツールを選びます。線の上をクリックするとポイントが作成され、そのポイントをドラッグすると太さを調整できます。
線の始まりを細くし、中央を太くして、終わりをまた細くすると、筆で描いたような流れのある線になります。ポイントを複数作り、細かく調整する方法もあります。
設定した線幅は、線幅プロファイルとして保存できます。
線幅を整えたら、線パネルの「プロファイル」から「プロファイルに追加」を選びます。名前を付けて保存しておくと、一覧から選ぶだけで他のオブジェクトにも反映できます。
均一な線よりも、手の動きが感じられる線の方が、温かみが伝わりやすいです。イラストだけでなく、ロゴやタイトル文字にも応用できます。


この記事では、マウスで書いた文字をペン字風に仕上げる方法を解説します。線の調整や線幅ツールによる強弱のつけ方も紹介していますので、ぜひご覧ください。
テクスチャを重ねて質感を出す
イラストそのものを変えなくても、背景に和紙やクラフト紙のテクスチャを敷くだけで、全体の印象をぐっと引き上げられます。
まずはテクスチャ画像をIllustratorに配置し、イラストの下に置きます。レイヤーパネルでテクスチャを最背面へ移動し、イラストが前面に出るようにしてください。
テクスチャの色味を整えたいときは、画像を選択した状態で「編集」→「カラーを編集」→「カラーバランス調整」を使います。明度や彩度を調整できるため、作品のトーンに合わせやすくなります。
反対に、イラストの上にテクスチャを重ねたい場合もあります。そのときは、透明パネルで描画モードを「オーバーレイ」や「乗算」に変更しましょう。
不透明度を50から90%程度にすると、下のイラストを見せつつ、紙の質感も自然に残せます。
和紙、クラフト紙、水彩紙などを使い分けると、和風、ナチュラル、アンティークといった雰囲気も作りやすくなります。
無料素材サイトでもテクスチャは多く配布されています。気に入ったものを見つけたら、使いやすい形でストックしておくと便利です。

印刷でも手描き感を残す!データ印刷時の注意点
画面上で手描き風デザインが完成しても、印刷すると想定と違う仕上がりになることがあります。色の再現性、解像度、用紙選びなど、印刷物として形にするためのポイントを押さえておきましょう。
NEXERとWAVEが2025年に共同で実施した法人印刷物の発注、利用実態調査では、印刷物の発注・制作で困った経験がある方が全体の32.3%にのぼります。
約3人に1人が、何らかのトラブルを経験している計算です。
困りごとの内訳を見ると「色の仕上がりが想定と違った」が30.8%で最も多く、次いで「コストが予算を超えた」が25.6%「印刷会社とのコミュニケーションがうまくいかなかった」が17.9%という結果でした。
こうした失敗を避けるには、データ作成の段階から印刷を意識した設定が欠かせません。
まず、カラーモードはCMYKに設定しましょう。画面で見ているRGBと、印刷で使われるCMYKでは色の再現範囲が異なります。RGBのまま入稿すると、鮮やかな色が印刷時にくすんで見えることがあります。
新規ドキュメントを作るときはカラーモードをCMYKに設定します。既存のドキュメントは「ファイル」→「ドキュメントのカラーモード」→「CMYKカラー」で変更できます。
次に、解像度にも注意しましょう。Illustratorはベクターデータのため基本的に解像度は不要ですが、テクスチャ画像や写真を配置している場合は350dpi以上が推奨です。
画像を配置したら、リンクパネルで埋め込みを選び、データに統合しておくと入稿時のトラブルを防ぎやすくなります。
塗り足しの設定も忘れないようにしましょう。仕上がりサイズの外側に3mm程度の塗り足しを設けると、裁断時のズレによる白い余白を防げます。
トンボも必要です。上部メニューの「オブジェクト」→「トリムマークを作成」を選択し、仕上がりサイズに合わせて配置してください。
フォントのアウトライン化も入稿前の必須作業です。「書式」→「アウトラインを作成」を選ぶと、テキストが図形になり、印刷会社にフォントがなくても正しく出力されます。
ただし、アウトライン化すると文字の修正ができません。バックアップを取ってから進めましょう。
入稿形式は、印刷会社によってPDF入稿やAI形式入稿など指定が異なります。 一例として、WAVEのようにIllustratorデータをPDF形式でそのまま入稿できるサービスを選べば、フォントをアウトライン化する手間を省き、作業効率を高めることができます。
用紙選びも、手描き感を残すうえで大切です。光沢のあるコート紙よりも、マット系の用紙の方が温かみが引き立ちます。
たとえばWAVEでは、手描き風デザインに合う「ヴァンヌーボVG」「アラベール」など、独特の質感を持つ用紙も取りそろえています。
こうした特殊紙を選ぶことで、より再現性の高い仕上がりが期待できます。
不安がある場合は、無料サンプル請求を活用しましょう。画面と実物では見え方が異なります。事前に用紙や色味を確認しておくと安心です。
アンケート引用元:https://www.wave-inc.co.jp/weblog/?p=31651
まとめ
Illustratorで手描き風のデザインを作る方法は、線のアレンジ、色の調整、質感の追加という3つのステップで進められます。温かみのあるデザインを、ぜひ印刷物という形にして届けてみてください。
ラフ効果や落書き効果、ブラシ設定を活用すれば、ペンタブがなくても、絵に自信がない方でも、温かみのあるデザインに整えられます。
さらに画像トレースを使うと、紙に書いた手描き文字やイラストをそのままデータ化できます。自分の手のクセが残るため、オリジナリティを出したいときにも役立ちます。
手描き風デザインが整ったら、次は印刷物として形にする段階です。
WAVEでは、チラシやパンフレット、冊子など、手描き風の雰囲気を引き立てる商品を幅広く取り揃えております。
小ロットからのご注文も可能なため、個人事業主の方や少部数での印刷を希望される際も安心です。デザイン制作プランを活用すれば、プロのサポートを受けながら進められるため、制作に不安がある方にも向いています。
まずは無料サンプル請求で、用紙の質感や印刷の仕上がりを確認してみてください。手描き風の温かみを、印刷物としてしっかり届けられます。













