印刷用語集

2026.06.04  

トンボとは?印刷における役割や必要性・正しい付け方を解説

トンボとは?印刷における役割や必要性・正しい付け方を解説

印刷会社の入稿ガイドを読んでいて「トンボを必ず付けてください」という記載を見かけたことはないでしょうか。あるいは、受け取った入稿データを開いたとき、四隅に不思議な線があり「これは何だろう?」と思った方もいるかもしれません。

トンボは、印刷現場で使われる位置合わせの目印です。役割と付け方を理解すれば、初心者でも正確な印刷用データを作成しやすくなります。

この記事では、トンボの意味や役割、種類、Illustratorでの具体的な作成方法まで、順を追って解説します。

印刷に使われるトンボ(トリムマーク)とは

トンボ(トリムマーク)

トンボとは、印刷物を仕上がりサイズに断裁する位置や、フルカラー印刷で各色の版を正確に重ねるための目印です。印刷用データの端に付けられる、L字型や十字型のマークを指します。

「トリムマーク」と呼ばれることもありますが、基本的にはトンボと同じ意味です。Illustratorなどのデータ作成ソフトでは「トリムマーク」と表記されることが多いため、どちらの呼び方も覚えておくとよいでしょう。

なお、名称の由来は、十字型の「センタートンボ」が昆虫のトンボの形に似ていることからきているといわれています。

トンボの役割

トンボには、主に次の3つの役割があります。

トンボ(トリムマーク)の拡大図
  • 断裁位置の目安
    大きな用紙に印刷したあと、トンボを基準に仕上がりサイズへ切り落とします。
  • 見当合わせ(色ズレ確認)
    フルカラー印刷では、シアン・マゼンタ・イエロー・ブラックの4色を重ねて印刷します。トンボは各版の位置ズレを確認する目印として使われます。
  • 表裏の位置合わせ
    両面印刷では、表と裏の印刷位置がずれていないか確認する基準にもなります。

印刷会社では、このトンボをもとに断裁や位置合わせの確認を行います。印刷データにとって、トンボは仕上がり精度を支える重要な目印です。

あわせて覚えておきたい「塗り足し(裁ち落とし)」とは

トンボと切っても切れない関係にあるのが「塗り足し(裁ち落とし)」です。

印刷物は仕上がりサイズよりも少し大きな用紙に印刷した後、断裁して仕上げます。断裁では多少のズレが生じることがあり、仕上がりサイズぴったりにデザインを作ってしまうと、断裁後の紙の端に白いフチが出てしまいます。これを防ぐために、背景や図柄を仕上がりサイズより一回り大きく作っておくのが「塗り足し」です。

塗り足しの幅は、天地左右それぞれ3mmが標準です。WAVEへの入稿データを作成する際も、3mmの塗り足しを設定してください。「仕上がりサイズぴったりに作ってしまう」のが初心者の方に多いミスです。塗り足しを設定する習慣を最初から身につけておきましょう。

トンボの種類

トンボにはいくつかの種類があります。それぞれ役割が異なるため、どのマークが何を示しているかを把握しておくと、データ確認のときに役立ちます。

種類 主な位置 役割
コーナートンボ 四隅 仕上がり位置、塗り足し位置を示す
センタートンボ 天地左右の中央 見当合わせ、表裏の位置確認
折りトンボ 折り位置 折り加工の位置指定

コーナートンボ

コーナートンボは、印刷物の四隅に配置されるL字型のマークで「角トンボ」とも呼ばれます。日本式のコーナートンボは2本のL字型の線で構成されており、それぞれ異なる役割を持っています。

内トンボ

コーナートンボの内側の線が「内トンボ」です。仕上がりサイズを示す線で、断裁の基準になります。「断裁トンボ」「仕上がりトンボ」と呼ばれることもあります。

完成した印刷物で実際に見えるのは、この内トンボより内側の領域です。

外トンボ

コーナートンボの外側にある線が「外トンボ」です。塗り足し領域の終端を示す線で「製版トンボ」「塗り足しトンボ」とも呼ばれます。

内トンボと外トンボの間(約3mm)が、塗り足し(ドブ)の領域です。断裁後に切り落とされる部分ですが、この領域にもデザインを配置することで、仕上がりの端まで色や柄をきれいに印刷することができます。

センタートンボ

センタートンボは、印刷物の天地左右の中央それぞれに配置される十字型のマークです。「十字トンボ」とも呼ばれ、トンボの名前の由来になったマークでもあります。

主な役割はフルカラー印刷における「見当合わせ」で、4色の版が正確に重なっているかどうかをこのマークで確認します。両面印刷の場合の表裏位置合わせにも使われます。

折りトンボ

折りトンボは、三つ折りリーフレットや観音折りパンフレットなど、折り加工が必要な印刷物に使われるマークです。折り位置を指定するためのもので、形状は1本線が一般的です。

センタートンボや角トンボと違い、アプリケーションで自動作成できないため、折り位置を計算しながら手動で追加する必要があります。

【補足】西洋式トンボとは

日本式トンボ

西洋式トンボ

トンボには、大きく分けて「日本式トンボ」と「西洋式トンボ」があります。

日本式トンボは、コーナートンボが内トンボ・外トンボの2本線で構成されているのが特徴です。断裁時に多少のズレが生じても、仕上がった印刷物の四隅にマークが残りにくいよう設計されています。

一方、西洋式トンボはコーナートンボが1本線で構成されており、断裁がわずかにずれると四隅に線が残ることがあります。そのため、国内の印刷会社では日本式が前提になっていることが多くあります。

西洋式トンボでトリムマークを生成後の結果

WAVEでは日本式トンボのみを採用しています。海外とのデータのやり取りなど特別な事情がない限り、日本式トンボを使うとよいでしょう。Illustratorでトリムマークを作成した場合も、一般的には日本式トンボが生成されます。

入稿時にトンボは必ず必要?

結論として、入稿データにはトンボを付けることをおすすめします。

「仕上がりサイズどおりに作っていればトンボなしでもよい」とするケースもありますが、印刷会社によって入稿ルールは異なります。トンボがないと、印刷会社側で追加確認や調整が必要になることもあり、納期ややり取りの面で負担が増える可能性があります。

入稿トラブルを防ぐためにも、最初からトンボ付きでデータを作成しておくのが安心です。

なお、Photoshopで作成したデータは、Illustratorのようにトンボオブジェクトを直接作成する運用とは異なる場合があります。そのため、仕上がりサイズ+天地左右に3mmの塗り足しを加えたサイズで作成し、入稿方法は利用する印刷会社に確認しましょう。

【独自アンケート】印刷物でよくある困りごと

印刷物の発注や制作で、困った経験を持つ方は少なくありません。WAVEと株式会社NEXERが実施したアンケート(2025年)では「印刷物を発注・制作する際に困った経験はありますか?」という質問に対し、32.3%が「ある」と回答しました。およそ3人に1人が、何らかの困りごとを経験していることになります。

具体的には、印刷会社とのコミュニケーションやデータ作成方法に関する悩みが多く「入稿時にトンボを付けるべきか分からない」「付け方が分からない」といった声も見られました。

トンボの付け方に戸惑うのは珍しいことではありません。印刷会社や印刷物の種類によって必要条件が異なる場合もあるため、入稿前にルールを確認しておくことが大切です。

アンケート引用元:https://www.wave-inc.co.jp/weblog/?p=31651

こちらの記事ではトンボ(トリムマーク)を残しての納品は可能であるかについてご紹介しています。 ぜひあわせてご覧ください。

トンボを付ける際に押さえておくべきポイント

トンボを正しく設定していても、色の指定やデザイン配置を誤ると、印刷トラブルにつながることがあります。とくに注意したいのは、次の2点です。

  • トンボにはレジストレーションカラーを使う
  • 切れてほしくない要素は仕上がり線の近くに置かない

トンボにはレジストレーションカラーを使う

トンボには「レジストレーションカラー」を使う必要があります。レジストレーションカラーとは、CMYKすべてを100%で組み合わせた色です。

フルカラー印刷ではCMYKの4版に分けて印刷するため、すべての版に出力されるレジストレーションカラーでなければ、見当合わせの目印として機能しません。

オブジェクト>トリムマークを作成

たとえばブラック(K100%)だけでトンボを描くと、ブラック版にしか印刷されず、他の版のズレを確認できなくなります。Illustratorの「オブジェクト>トリムマークを作成」で生成したトンボは自動的にレジストレーションカラーになりますが、手動で線を引く場合は必ず指定してください。

注意点としては、レジストレーションカラーは「トンボ以外には絶対に使用しない」ようにしてください。 4色すべてが100%の濃度になるため、デザイン部分に使用すると、インキの乾燥不良により用紙がくっついたり、文字の太りやにじみといった印刷上の不具合が発生したりする原因になります。

仕上がり線の近くには切れてほしくないものを置かない

デザインを配置する際は、重要な情報を仕上がり線のギリギリに置かないようにしましょう。断裁では多少のズレが生じることがあり、仕上がり線のすぐ近くに文字や重要なデザイン要素を置くと、一部が切れてしまう可能性があります。

WAVEでは、重要な情報は仕上がり線から3mm以上内側に配置することを推奨しています。文字やロゴなど、切れてほしくない要素は、仕上がり線から十分に余裕を持たせて配置しましょう。

実際にトンボを作成してみよう!作成方法の例

トンボの役割や注意点が分かったところで、実際にトンボを付ける方法を見ていきましょう。ここでは3つの方法を紹介します。

印刷会社のテンプレートを使う

最も確実で簡単な方法が、印刷会社が提供するテンプレートを使うことです。

WAVEでは、各商品・サイズに対応したテンプレートを無料で提供しています。テンプレートにはあらかじめトンボと塗り足し領域が設定されているため、サイズの設定ミスや塗り足しの設定漏れを防ぐことができます。

とくに、初めてトンボを扱う方や、データ設定に不安がある方にはテンプレートの活用がおすすめです。WAVEのテンプレートは公式サイトからダウンロードできます。

イラストレーターの長方形ツールを使う

自分でデータを一から作成する場合の、標準的な方法です。ステップごとに確認しながら進めましょう。

1:裁ち落としの設定をする

まず、Illustratorで新規ドキュメントを作成する際に「裁ち落とし」を設定します。

「新規ドキュメント」ダイアログの「裁ち落とし」欄に、天地左右それぞれ「3mm」と入力してください。これにより、塗り足し領域が3mmに設定され、トンボ作成時の基準が整います。

アートボードのサイズは、塗り足しを含まない「仕上がりサイズ」に設定するのが基本です。たとえばA4(210×297mm)の印刷物であれば、アートボードは210×297mmに設定します。

2:仕上がりサイズと同じ大きさの長方形を作る

次に、アートボードと同じサイズ(仕上がりサイズ)の長方形を作成します。

このとき、最も重要なポイントは「塗りと線をなしにする」ことです。塗りや線の色が設定されていると、トンボのサイズや位置に影響が出てしまいます。必ず塗り・線ともに「なし」に設定した状態で長方形を作成してください。

長方形の作成後は、位置とサイズがアートボードと完全に一致していることを確認しましょう。「変形」パネルでX・Y座標を0に、幅・高さを仕上がりサイズに合わせると正確に配置できます。

3:トリムマークを作成する

塗りと線をなしにした長方形を選択した状態で、メニューバーから「オブジェクト>トリムマークを作成」を選択します。これだけで、正しいトンボが自動的に生成されます。

トンボが生成されたら、元の長方形は削除しても問題ありません。または、ガイドとして活用するために残しておくことも可能です。

【補足】「オブジェクト>トリムマークを作成」と「効果>トリムマーク」の違いは?

オブジェクト>トリムマークを作成

Illustratorには、トンボに関するコマンドが複数あり、混同しやすいポイントです。

「オブジェクト>トリムマークを作成」は、選択したオブジェクトをもとに独立したトンボオブジェクトを生成する方法です。作成後に個別選択や移動、調整がしやすいため、入稿データではこの方法が扱いやすいでしょう。

一方「効果>トリムマーク」は、選択したオブジェクトにアピアランスとして適用する方法です。この場合、見た目上はトンボが付いていても、必要に応じてオブジェクト化の処理が必要になることがあります。

現在の運用では、「オブジェクト>トリムマークを作成」を使うほうが分かりやすく、入稿時の確認もしやすい方法といえます。

イラストレーターのPDF機能を使う

IllustratorのPDF書き出し機能を使うと、PDFに書き出す段階でトンボを付与することができます。

方法は「ファイル>別名で保存(またはコピーを保存)」からAdobe PDF形式を選択し「トンボと断ち落とし」タブ内の「トンボ」にチェックを入れるだけです。

この方法で書き出す場合、Illustrator上のデータにトンボオブジェクトを作成する必要はありません。ただし、アートボードのサイズが仕上がりサイズになっていることが前提条件です。また、裁ち落とし(塗り足し)の設定も書き出しダイアログで指定できます。

データはIllustrator形式で保存しておき、PDF書き出しのタイミングでトンボを付けるというワークフローも選択肢のひとつです。

トリムマークが正確にできているかどうかを簡単に確認したいとき

正確にできるか確認する際は、以下の3つに注目しましょう。

  • 仕上がりサイズが正しいか
  • 上下左右に3mmの塗り足しが設定されているか
  • トンボが正しい位置に付いているか

たとえばA4(210×297mm)の場合は、仕上がりサイズが210×297mmになっていることと、その外側に上下左右3mmずつ塗り足しが取られているかをチェックします。

Illustratorのトンボ機能で作成した場合、内トンボは仕上がりサイズ、外トンボは塗り足し範囲の目安になります。全体の外寸は、塗り足し量やトンボの仕様、アートボードの設定によって変わるため「仕上がりサイズ+〇mm」のような固定値で判断するのは適切ではありません。

Illustratorの「ドキュメント情報」や「変形」パネルを使って、仕上がりサイズと塗り足し量が意図どおりに設定されているかを確認すると、より確実です。

まとめ

この記事では、印刷に使われるトンボ(トリムマーク)について、意味や役割、種類、具体的な付け方まで解説しました。

トンボは印刷現場で欠かせない目印ですが、仕組みが分かれば難しいものではありません。Illustratorでは「オブジェクト>トリムマークを作成」の操作で、比較的簡単に設定できます。初めて印刷用データを作成する方や、設定に不安がある方は、印刷会社のテンプレートを使うと安心です。

総合印刷のネット通販WAVEでは、各商品のサイズに合わせたテンプレートを無料で用意しています。トンボや塗り足しがあらかじめ設定されたテンプレートを使えば、設定ミスや入稿不備を防ぎやすくなります。データ作成で不明点がある場合は、WAVEのサポートも活用しながら、正確なデータ作成を進めましょう。

こちらの記事では、法人・個人のお客様向けのサービスを紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。

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