「サイトに載せた写真が暗く見える」「商品の色が実物と違って見える」と感じたことはありませんか。写真の色味調整は、専門的な知識や高価な機材がなくても、いくつかのコツを押さえるだけで大きく改善できます。
この記事では、色味調整が重要な理由から、彩度やレベル補正、トーンカーブといった具体的な操作方法、さらに被写体別の実践例までわかりやすく解説します。
写真の色味調整が重要な4つの理由
写真の色味を整えることは、単に見た目をきれいにするだけの作業ではありません。被写体本来の色を正確に伝えることは、見る人の購買意欲や信頼感にも影響します。
株式会社NEXERとWAVEが共同で実施したアンケート調査では「印刷物を発注・制作する際に困った経験はありますか」という質問に対し「よくある」と答えた人は5.0%、「たまにある」と答えた人は27.3%でした。また「具体的にどのような点で困りましたか(複数選択可)」という質問では「色の仕上がりが想定と違った」を選んだ人がもっとも多く、30.8%という結果でした。
写真や印刷物の色味を事前にしっかり整えておくことは、こうした認識のずれを防ぐ一助にもなります。
ここでは、色味調整が重要とされる4つの理由を紹介します。
被写体本来の正しい色を伝える
写真は、撮影時の光源や天候、カメラの設定によって、実際に肉眼で見た色と異なる色合いで写ることがあります。たとえば同じ商品でも、晴れた日の屋外で撮影した写真と蛍光灯の下で撮影した写真では、印象が大きく変わります。
色味調整は、こうした撮影環境による誤差を補い、被写体が本来もっている色に近づける作業です。特にネットショップやカタログなど、実物を手に取れない状況で商品を紹介する場合、正確な色を伝えることは、購入後の「思っていた色と違う」という不満を防ぐことにつながります。
手元にある商品と画面上の写真の色を合わせて見比べる習慣をつけると、色のずれに気づきやすくなります。スマートフォンとパソコンでは画面の見え方が変わるため、複数の端末で確認しておくと、より安心です。
撮影環境による色かぶりを直す
撮影する場所の光によって、写真全体に特定の色がかぶって見える「色かぶり」が起こることがあります。たとえば、白熱電球の下で撮影すると写真全体がオレンジがかった色味になったり、蛍光灯の下では緑がかった色味になったりします。
こうした色かぶりをそのままにしておくと、写真全体の印象がぼんやりとして、伝えたい情報が正確に伝わりません。色かぶりの原因となっている色を打ち消す方向に調整することで、被写体の質感や素材感がはっきりと伝わる写真に仕上がります。
撮影時にホワイトバランスを調整しておくと、後からの補正を少なくできます。
商品の魅力を高めて購入を促す
色は、見る人の感情に直接働きかける要素です。料理写真であれば「おいしそう」と感じさせ、雑貨や衣料品であれば「清潔感がある」「上質そう」といった印象を与えるなど、色味の調整によって第一印象は大きく変わります。
特に個人事業主の方が運営するサイトやSNSでは、写真のクオリティがそのままブランドの印象につながるため、色味を整えることは購入を後押しする重要な工程だといえます。
魅力が伝わりにくい写真をそのまま掲載してしまうと、せっかくよい商品やサービスであっても、その価値が正しく伝わりません。反対に、少しの調整で印象が引き締まれば、同じ商品でも「選ばれる理由」につながります。
印刷物全体の色調を揃えて信頼感を出す
1枚1枚の写真がきれいでも、チラシやパンフレットに掲載する写真の色調がばらばらだと、全体としてまとまりのない印象を与えてしまいます。
反対に、写真の明るさや色味、コントラストをそろえることで、印刷物全体に統一感が生まれ、見る人に安心感や信頼感を与えられます。
商品カタログや会社案内などで「おしゃれ」「プロらしい」といった印象を打ち出したい場合、写真の色調を統一することは、印刷物の世界観を整えるうえで重要です。使用する写真の傾向にばらつきがないか、画面上やプリントアウトで見比べて確認するとよいでしょう。
重要な印刷物の場合は、本機校正を利用し、本印刷の前に色味を確認するとより安心です。
撮影時期や場所が異なる写真を混在させると、統一感が崩れやすくなるため注意が必要です。こうした作業に時間をかけられない場合は、プロにまとめて相談する方法もあります。
写真の色味調整は「明るさ」と「メリハリ」が成功のコツ
色味調整と聞くと難しく感じるかもしれませんが、基本は「思っているより少し明るく、少しはっきりめ」に仕上げることです。ここでは、彩度・レベル補正・トーンカーブ・特定色域の選択という4つの機能を使い、明るさとメリハリを整える方法を紹介します。
それぞれの機能は役割が異なるため、まとめて覚えようとせず、ひとつずつ試しながら使い方を少しずつ覚えていくのがおすすめです。操作に慣れていない場合は、まず彩度とレベル補正から試し、慣れてきたらトーンカーブや特定色域の選択にも挑戦してみるとよいでしょう。段階を踏んで練習すると、無理なく上達できます。
彩度を上げて鮮やかさを引き出す

もっとも手軽な方法が、彩度を上げて写真の鮮やかさを引き出すことです。目安として、彩度を10〜15程度上げると、色にメリハリが生まれます。ただし、上げすぎには注意が必要です。

特に人物写真では、彩度を上げすぎると肌色が白飛びしたようになり、不自然な印象になることがあります。人物を含む写真では、彩度全体を一律に上げるのではなく「自然な彩度」という機能を使うと、肌色などすでに彩度が高い部分への影響を抑えながら、彩度が低い部分だけを自然に鮮やかにできます。
被写体によって、彩度と自然な彩度を使い分けることがポイントです。
こちらの記事では、彩度と明度の違いについて解説しています。 デザインの質を高める実践的な方法も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
レベル補正でメリハリをつける

レベル補正は、写真のヒストグラム(明るさの分布を表すグラフ)を見ながら、シャドウ・中間調・ハイライトの3点を調整する機能です。

全体的にぼんやりとした、いわゆる「眠い写真」は、レベル補正でコントラストを整えることで引き締まった印象になります。まずはこの機能から慣れていくと、色味調整の基礎が身につきます。
ハイライト(明るい部分)の補正
ヒストグラムの右端(明るい部分)を確認し、白飛びしていないかをチェックします。データが右端まで届いていない場合は、ハイライト側のスライダーを左に寄せることで、明るい部分をより明るく見せられます。白飛びしている部分は、補正しても情報が戻らないため、撮影時から注意しておくと安心です。
中間調(中間の明るさ)の補正
中間調のスライダーを動かすと、写真全体の明るさの印象を調整できます。右に寄せると暗く落ち着いた印象に、左に寄せると明るく軽やかな印象になります。被写体の雰囲気に合わせて、少しずつ動かしながら調整するとよいでしょう。
シャドウ(暗い部分)の補正
ヒストグラムの左端(暗い部分)を確認し、黒つぶれしていないかをチェックします。シャドウ側のスライダーを右に寄せることで、暗い部分の締まりを保ちながら、写真全体を引き締められます。
トーンカーブでバランスを整える

トーンカーブは、レベル補正よりも細かく明暗のバランスを調整できる機能です。グラフ上のカーブを部分的に持ち上げたり下げたりすることで、ハイライト・中間調・シャドウをそれぞれ個別に調整できます。

定番の使い方は「S字カーブ」です。ハイライト側を少し持ち上げ、シャドウ側を少し下げることで、写真全体のコントラストが強まり、メリハリのある仕上がりになります。レベル補正に慣れてきたら、次のステップとして挑戦してみましょう。
トーンカーブは、色の成分ごとに調整することもできます。たとえば、「背景の黄みだけを抑えたい」という場合は、
チャンネルをイエローに切り替えて、ハイライト(白い部分)のイエローの入力値を調整。これだけでお皿や背景の黄色味を軽減できます。
次に紹介する「特定色域の選択」でも同様のことができます。

特定色域の選択

「料理に添えられたトマトなど、赤色の彩りだけを強調したい」など、写真の中の特定の色だけを調整したい場合には、特定色域の選択という機能が役立ちます。色相や彩度を、写真全体ではなく特定の色域だけに絞って調整できるため、狙った部分だけを繊細に変えられます。
なお、色味の調整には「カラーバランス」という機能もありますが、より細かく色域を絞って調整したい場合は、特定色域の選択がおすすめです。
ただし、この機能はPhotoshopなどの高度な画像編集ソフトに搭載されている場合が多く、Windowsの「フォト」など、無料の標準アプリでは対応していないことがあります。無料ツールでコツをつかみたい場合は、まず彩度やレベル補正から試し、より細かい調整が必要になった段階で、有料ソフトの導入を検討するとよいでしょう。
自分での調整に限界を感じたときは、プロに相談することで、狙いどおりの仕上がりに近づけられます。
【被写体別】色味調整の具体例
ここまで紹介した機能を踏まえ、被写体別に色味調整の具体例を紹介します。
一般的なデジタル写真データは、RGB(赤・緑・青)を基準に色が表現されています。パソコンの標準アプリや無料アプリで調整する場合は、色温度や色合い、彩度などの項目を使用します。
【Macの「プレビュー」の場合】
メニューの「ツール」から「カラー調整」を開くと、「色温度」や「色合い」のスライダーがあります。
- 色温度:写真の青みと黄みを調整する
- 色合い:写真の赤みと緑みを調整する
- 彩度:色を鮮やかにしたり、落ち着かせる
【Windowsの「フォト」の場合】
編集画面の調整機能にある「暖かさ」の項目を使用します。
- 暖かさ:写真の青みと黄みを調整する
- 彩度:色を鮮やかにしたり、落ち着かせる
細かい色合い(緑・マゼンタ)の調整スライダーがない場合でも「暖かさ」を調整するだけで、写真の印象をある程度改善できます。さらに「彩度」を調整することで、色味を強調したり、落ち着いた印象にできます。
一方、印刷物では、CMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)の色成分を基準に調整します。
ここから紹介する具体例では、CMYKの増減を意識すると、狙った印象に近づけやすくなります。
食べ物・料理:美味しさを引き立てる「温かみ」と「鮮やかさ」

料理写真では、シアンを少し抑え、イエローやマゼンタを少し足して彩度を高めに設定すると、温かみがあり食欲をそそる色合いになります。ホカホカの料理も、シアンが多いと冷めて見えてしまうため注意が必要です。
サラダなど緑の野菜を主役にする場合は、マゼンタをわずかにマイナスすると、緑がより鮮やかに見えます。白いお皿を清潔感のある青白い色に見せたい場合は、イエローを少しマイナスすると効果的です。
彩度を上げすぎるとかえって不自然になるため、少しずつ確認しながら調整することが大切です。
モデルハウス・インテリア:清潔感と広がりを演出する「明るさ」

リビングや寝室など、くつろぎの空間を印象づけたい場所では、シアンを少し減らすと、温かみのある雰囲気になります。

一方、キッチンや浴室などの水回りは清潔感が求められるため、白い部分のイエローを減らして青白く見えるように調整するとよいでしょう。
イエローが多いと、黄ばんで古い印象になってしまいます。場所ごとに求められる印象を意識して、色味を使い分けることがポイントです。
部屋全体の広がりを伝えたい場合は、明るさをやや高めに設定すると効果的です。
病院・工場などの施設:クリーンで信頼感を与える「色かぶりの解消」

病院や工場のように清潔感と信頼感が求められる施設写真では、白い壁などのイエローを少しマイナスし、青白く見えるように調整すると、クリーンな印象を強調できます。スタッフなど人物が写り込んでいる場合は、人物部分にマスクをかけて補正すると、肌色まで青白くなってしまうのを防げます。
細部までクリーンな印象を保つことは、訪れる人の安心感にもつながります。
空・木・新緑:爽やかさと生命感を強調する「彩度コントロール」
屋外で撮影することが多い空や緑の写真は、見せたい印象によって調整の方向性が変わります。朝の空気感を伝えたい場合は青系を強調し、夕方の温かみを伝えたい場合は赤系を強調するなど、時間帯を意識した調整が効果的です。

季節感を出したい場合は、シアンを強めにすると力強い「夏の緑」に、イエローを強めにするとみずみずしい「春の新緑」に見せられます。桜の花も同じ考え方で、シアンを強めにすると咲き始めのようなみずみずしい印象に、イエローを強めにすると散り際のようなやわらかい印象になります。

空の青色や葉の緑色をより鮮やかに見せたい場合は、マゼンタまたはイエローを少しマイナスするとよいでしょう。
人物(ポートレート):健康的で生き生きとした「肌色の調整」

人物写真では、肌色の調整が印象を大きく左右します。赤ら顔が気になる場合は、マゼンタをわずかに減らし、イエローを少し足したうえで明るさを整えると、健康的で自然な肌色に近づけられます。
歯や白目、白いシャツなどは、イエローを少し減らすとすっきりとした白さになり、清潔感のある印象を与えられます。シワやシミは、不自然にならない程度に軽く補正するのがポイントです。
さらに、シェーディングとハイライト用のレイヤーを重ねて立体感を出すと、小顔で、すっきりとした印象に仕上がります。メイクで陰影をつけるのと同じ考え方です。
細かな肌色の調整が難しいと感じる場合は、プロに任せる方法も検討してみましょう。
こちらの記事では、人物の肌補正について解説しています。 Photoshopを使用した加工方法も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
写真の色味調整は、被写体本来の色を正しく伝え、商品の魅力を引き立て、サイト全体の信頼感を高めるための大切な工程です。彩度・レベル補正・トーンカーブ・特定色域の選択という4つの機能を理解するだけでも、見た目の印象を大きく改善できます。
ただし、扱う写真の枚数が多い場合や、サイト全体のトーンを統一したい場合は、1枚ずつ手作業で調整する手間や時間がかかり、運用のコストが大きくなります。
写真だけでなく、ブランドイメージも含めて改善したいときは、プロに相談するのがおすすめです。写真の色味を整えることは、読者からの信頼を得て、商品・サービスの魅力を伝えるための大切な一歩になります。
WAVEでは、デザインアシスト(プロによる修正代行)で、簡単な写真の色味補正を含むデザイン制作の相談を受け付けています。写真の色味調整に時間をかけられない方や、仕上がりに不安がある方は、お気軽にご相談ください。ご利用ガイドもあわせてご確認ください。
WAVEでは名刺・ポスター・パンフレットをはじめ、チラシ印刷や中綴じ冊子など多彩な印刷物をネット通販で承っています。デザイン制作のご相談も可能ですので、お困りの際はぜひお問い合わせください。
2018年2月27日に公開した記事をリライトしています。
この記事を書いた人:WAVEブログ編集部 WEBチーム
普段はWebサイトの運営や改善、商品PRを担当しています。サイト運営の傍ら、新商品案内から販促・データ作成のTips、WAVEの社内情報まで幅広く執筆中!印刷やビジネスに即役立つ情報をお届けします!
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