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データ作成の留意点+(プラス) 「美しい日本語組版とは」

皆さん、ご無沙汰しております。
9月になって、もう涼しくなると思ったらぜんぜん暑くて参っている上坂です。

さて第15回目の留意点+は、ちょっとマニアックなお話。
「美しい日本語組版とは」です。

印刷の歴史は古いです。大昔のことは割愛しますが(汗)、日本でも、近代から現代にかけて、活版印刷、写植、DTPというふうに、移り変わってきました。

その歴史の中で、日本語というものを紙面に美しく配置する、「日本語組版のルール」のようなものが、半ば暗黙の了解のような形で発達してきました。

今回は、現在のDTPでも役に立つであろう、日本語組版の「基本の基本」をご紹介します。

1.ベタ組み

小説などを読むことが趣味! って方、たくさんいらっしゃると思います。
文庫本などを見ていると、あることに気がつきますでしょうか。
たいていは、文字が一文字一文字、隣の行と同じ位置に整列されているように配置されていると思います。(表現が下手ですいません。各行の文字の高さが、隣どうしでぴったりと揃っているということですね。)
日本語の文字って、よく見ると正方形の中に収まっている(仮想ボディともいいます)のですが、それらが規則正しく整列されて並んでいる状態をベタ組みといいます。(文字をツメていない場合)

それらは人間が文字を読むときに、自然と可読性が良くなる並びです。
限られた紙面で、どうしてもこのページにこれだけ収めなければいけない! ということも確かにあり、その場合は、不自然にならない程度に文字間をツメて、なるべく可読性が損なわれないようにします。
文字をツメればツメるほど、一行に収まる文字の数も増えますが、隣同士の行と文字数が合わなくなり、並びが多少変わってきます。(=可読性が低くなる)

可能であれば、全ての文字をベタ組みで並べることができれば理想です。

2.禁則

「禁則」ってなんでしょうか。
日本語組版のルールにおいて、「これは美しくないのでやめましょう」という、いわば禁止事項です。
簡単にご紹介しますと…。

行頭禁則(行の頭にきてはいけない文字)

例のような、句読点の他に、

◎終わり括弧類

◎行頭禁則和字

◎ハイフン類

◎区切り約物

◎中点類

などがあります。

▼分離禁止文字(次の行に分かれてはいけない文字)

[連数字]

上記のような禁則はごくごく一部ですが、このような禁則を無視した文章が非常に読みにくいことは、想像に難くありません。
学校でも上記のようなことは、作文を書くときなどに習った覚えがありますので、頭では分かっているのですが、DTPにおいてはいつのまにか上記のような文章ができてしまっていることがあります。

それは、基本的にDTPのソフトが純粋に日本生まれでないため(IllustratorもIndesignも基本的には欧米産のソフトですね。)、上記のような問題が起こりえるためです。

もちろん、どちらのソフトも禁則処理をコントロールする機能がありますので、それらを設定すればOKなのですが、何も触らずに文字組を行うと、なんだか「変」な日本語組版になってしまう恐れがあります。(このへんは、昔の日本語ワープロのほうが禁則処理を自動的にやってくれたりします(笑)。DTPのソフトは、ワープロとはまた少しベクトルが違うのでしょうね。)

それらの設定は試行錯誤の上で、皆さんの業務のニーズにあわせて、色々な設定を作っておくといいのではないでしょうか。(組版のルールは、業務内、または会社によってすこしずつ違うことがあります。「ハウスルール」ですね。一般的に禁則であることでも、あえてそのまま組版をおこなうこともあるわけで…。組版の基本はありますが、それが絶対ではないということです。)

いかがでしょうか。
現在はパソコンを使って比較的手軽に印刷物を作れるようになりましたが、上記のような基本的なことも少し気にしてみると、より良い印刷物ができると思います。
ではでは。